セミの声に目を覚ました日

 

休日の朝は、4枚切りのパンをトーストする。

 

包丁の刃先を垂直よりすこし斜（なな）めに持ち、底につかない深さでミミのフチ、タテに2等分、それからヨコに3等分の切れ目を入れていく。

 

フライパンをすこし温めて、厚さが3㎝ほどの食パンをやさしく置く。

 

フタをして、チリチリと焼けていくちいさな音に耳を澄（す）ます。

 

色よく焼けたら、ひっくり返してもう片方をトースト。

お皿の上にあつあつの食パンをとり出し、バターを一片（ひとかけ）のせる。

 

とろりと溶けたら、バターナイフで四方（しほう）へ広げる。

 

それから、ハチミツをたっぷり。

容器を高々と持ち上げ、ハチミツをグルグル グルグルまわしかけていく。

 

対角線で持ったパンをゆっくりと傾（かたむ）け、バターとハチミツが滴（したた）り落ちる瞬間、ガブリッとくちの中へ放りこむ。

 

アイリッシュケルトの音楽をBGMに、休日の朝が静かにはじまってゆく・・。